技術論文から見る今年のAIトレンド予測
AIエージェント、プリトレーニングの終了、推論モデル
先月頭に著名なAI研究会Neural Information Processing Systems (NeurIPS)の発表があった。そこで行われた元OpenAI創業者で研究者でもあるIlya Sutskeverの発表が、エンジニア間で話題になっている。
AIの今後は研究者による論文と切り離すことができない。研究会で発表され注目を浴びた技術論文から、今年のAIトレンドを予測する。
1.AIエージェント
言わずもしれたAIエージェント。
単語自体の解説と整理は過去記事をご覧ください。
AIエージェント・AIアプリ・AI SaaSとは?生成AI界隈の単語の再定義
最近商談で「AIエージェント」という言葉が飛び交うようになった。先月米国で開催されたSaaStrでも、皆AIエージェントと話していた。
AIエージェントに関する各社のリリースは立て続けに発表された。
Salesforceがクライアント向け大規模イベントDreamforceで発表。
それに続くかのようにGoogleも「Agentspace」を発表
国内ではNTTデータや、富士通も「Fujitsu Kozuchi AI Agent」という自律的なAIエージェントをリリースしている。
弊社クラフターでも自律的なAIエージェントの元になるアプリをノーコードで作れる「AIスタジオ」を公開し、一部企業様に先行利用していただいている。
企業がAIエージェントを使う流れは不可避だと予想される一方、国内企業だとまだまだ当てはまるワークフローを発掘しAIに変換する企業側のリソースがないように見られる。
今年は国内外の事例や効果を見ながら、後半に向けて導入検討を行う企業が増えると予想する。
2.プリトレーニングの終了
AIで肝になるのはデータだ。ハードウェアが良くなり、アルゴリズムも改善し、クラスターも巨大化しAIにとっては最適な環境ができてきた。
そんな環境でありながらも、現状のモデルよりも情報量を増やし知識量を与えることは難しいというのがIlijaの見解だ。なぜなら、AIがプリトレーニングするWeb情報は一つしかない。しかし現存するLLMは既にネット上の情報を”食い尽くして”いる。
彼は「Pre-training as we know it will end」と語った(この文章はエンジニア会話で大変バズった)。
なお、ChatGPTは人間による強化学習を経て桁外れの会話精度となった。
各社のLLMがネット上の情報を網羅した今、プリトレーニングの別の手法が重要視されるようになっている。
それは、自分でプリトレーニングのデータを作るAIの登場だ。機械学習するためのトレーニングデータを自分で作成し、自己トレーニングができるようになった。
3.推論モデルの進化
OpenAIからは度々進化モデルが発表されている。中でも推論という思考モデルを覚えさせたo-1の評価は高い。
人間が意外と簡単にできている推論するという行為。この行為がAIに実装されることで、自分で考察し課題を見つけて解決することができるようになったと言える。
AIエージェントの台頭と相まって、この自律的な進化は仕事において大きく人間を補佐することになるだろう。
所感
紹介した情報は、研究分野ではずっと議論され続けていて、今回Ilyaが取り上げて改めて話題となった。そのため特段目新しい研究というわけではない。常にニュースが飛び交うこの生成AI領域において、実は研究に関する進展は比較的に目で追うことができる。
今回のテーマ案は、これからスタートアップの起業ネタにも最適だろう。
ところで研究と離れた法人向け生成AI市場の実態はどうだろうか。
弊社ではAIに関するお問い合わせが多いが、去年の終わりにはRAGという言葉を知らない企業も増えてきた。それだけ生成AIが一般に普及したと言えるだろう。
イノベーターやアーリーアダプター層がこぞって使っていた技術でなく、彼らの様子を見ていたマジョリティにも浸透し始めたということだ。
とはいっても昨年11月にNTT系列のシンクタンク情報通信総合研究所によるWeb調査では、生成AIの導入率は企業規模や業界で大きな開きがあった。
まだまだ2025年では企業の隅々まで普及するということは難しいだろうが、国内イノベーター層では上記のAIエージェントや推論モデルの検討実装が始まると予想できる。






