ARRが$100Mを最速で突破したCursorが直面する課題
SaaStr Annualが始まっている。今年はイベント名もSaaStr AIだ。昨年はどのセッションでもAIの話は避けられなかった。イベントスポンサーを得るにもAIがついていた方が良かったのだろう(営業AIエージェントを提供するArtisanがゴールドスポンサーだ)。
Day3では、Cursor, Anthoropic、Bessemer Venture Partnersのセッションで、AIスタートアップの現状について話していた。
AIスタートアップでは売上総利益が低い。
モデルは日々安くなっているのにと、疑問に思う人もいるかもしれない。
しかし、それ以上に顧客がAIへの期待値が高く(demanding)、AIスタートアップはカスタマイズの開発コストとファインチューニングのコストを支払っているのが大きな理由だ。
また、従来のSaaSサービスと異なり、AIサービスでは、良い顧客が悪い顧客になってしまうことがある。最も忠実でサービスを使ってくれればくれるほど、モデルへの支払が増えてサービス側の取り分は低くなる。
困ったことに、Cursorは月額固定のプライシングモデルだ。ユーザーが便利に思い日々Cursorを使うほど、会社に利益は残らない構造だ。
Cursorはたった1年でARR$1Mから$100Mに成長した最も早いスタートアップとなった。YoYは驚異的な9,900%の成長率となる。
それでも、Cursorが安泰だとは言い難い。著しい成長率は大きな好材料だが、キャッシュフローポジティブが求められる市場の中、売上総利益が高いことには敵わない。
Cursorは派手なマーケティングやセールスを行わずに、プロダクトの真価でオーガニックに伸びたAIスタートアップだ。
それでも、避けられない巨大な原価という課題が残る。
AIスタートアップの宿命を解決するには、GPU側の新たなブレークスルーが必要になるだろう。